思い起こすは、あのひと皿

日々の美味しかったものについて語る。

オムライス

誰しもオムライスには理想を持っている。

卵の状態、チキンライスの味付け、肉と野菜…

 

たいがいは家庭で母親が作ってくれたものに近い。

 

我が家のオムライスは

ケチャップライスの具は

サラダ油で炒めたキャラメル大の皮付き鶏モモ肉、みじん切りの玉葱とピーマン。

味付けは多めのケチャップと塩胡椒。

ケチャップの水分を飛ばす前にごはんを加えて炒めるせいか、

出来上がりのケチャップライスは少しべちゃっとしている。

卵は片面だけ薄く広げて焼いたものを、

半熟面をチキンライスに接するように被せる。

形は良くある綺麗な形ではなく、

楕円のお皿に合わせた楕円形。

そこにケチャップで絵を描くのが

いくつ歳を重ねても楽しい時だ。

 

ケチャップライスと鶏肉と片面だけ半熟の卵とケチャップをスプーンで頬張る。

ひと口で色々な食材と母の愛情を味わえる口福がたまらない。

 

実家に帰る時、いまだに母にリクエストしてしまう。

面倒だと言いながらもフライパンを振って作ってくれるので、毎度ありがたく味わう。

 

 

理想のオムライスは、

肉は大きめ、野菜は不揃いなみじん切り、

バターやソースも使わない、気取ってない味付けと

片面だけとろりと優しい口当たりの卵と

皿の形状で変わる姿という、

他所ではお目にかかれない難易度の高い食べ物である。