豆腐の味噌汁
昔ながらのお豆腐屋さんの絹豆腐で作るお味噌汁。
水からくつくつ煮立てると、
お味噌を溶かし入れる頃には、角がほんのり優しくなっていて、
それがなぜだかとても喜ばしく感じます。
さて
お味噌汁の具といえば、豆腐に油揚げ。
我が家は具は基本的に三種類なので、残るはあと一種類。
残りのひと枠、
四季を通じて選ばれるのは、葱にわかめに小松菜、ほうれん草、きのこ類。
春なら菜の花、あおさ、蕗。
夏なら茗荷、茄子、おくら。
秋ならじゃがいも、牛蒡、玉葱。
冬なら大根、韮、とろろ昆布。
このローテーションで回すことが多い気がします。
ほかほか炊き立てのごはんと
ちょいと大きめのサイコロ豆腐のお味噌汁。
朝はこれだけでも嬉しいものです。
残りひと枠に選ばれた具の存在感は大きいですが、
それをコクの面で支える油揚げと、
次のひと口のための緩衝材になってくれる豆腐、
しみわたるように滋味深い味噌のおつゆなくしては、成り立たないように思います。
その中でも、
やはり豆腐の緩衝材な役割は、地味で目立たないけれど、
豆腐を舌の上でゆっくり潰す感触と、優しい豆腐の甘みがたまらないのです。
歳を重ねると、
目に見えやすいわかりやすいものから、
目立たないところだけれど良い仕事をしているものを見直して、
そこに粋や価値を感じるようですが、
豆腐のお味噌汁一杯にもそんな世界を感じてしまいます。